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2026.05.08

寿司よりも「茶道」。特定のセグメントから圧倒的な支持を得ている理由

インバウンドマーケティングにおいて、寿司作り、着付け、そして侍体験は長らく「三種の神器」のように扱われてきました。これらがすべての外国人旅行者にとって、日本文化体験の入門編と考えられがちです。

しかし、関西国際空港(KIX)での最新調査は、その画一的なアプローチに疑問を投げかける、嗜好の大きなギャップを示しました。

アフリカおよび中東からの旅行者を分析したところ、「茶道」への関心は他をリードするにとどまらず、他の地域からの旅行者の約7倍という圧倒的な結果となりました。
 

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なぜ茶道は、この地域からの旅行者(セグメント)に寿司作りや着付けよりも強く興味を持たれるのでしょうか。

その理由は「文化的共鳴」にあると考えられます。お茶やコーヒーにまつわる長い伝統を持ち、「飲む」ことと同じくらい「淹れること」を重視する地域の人々にとって、日本の茶道(伝統的なお茶の道)は馴染み深く感じられるのです。それは単に着るだけの「衣装」や、真似するだけの「レシピ」ではありません。尊敬、マインドフルネス、そしておもてなしという共通の言語なのです。

このデータは、日本のグローバルな魅力が、表面的な体験を超えて世界共通の人間的価値観にアプローチした時にこそ、最大化されることを示唆しています。

多くの旅行者にとって茶道は単なるアクティビティではなく、「文化的対称性(シンメトリー)」を体験する大きな機会です。おもてなしの神聖な儀式を重んじることで、日本は、自身の生活においても深みと伝統を大切にする旅行者との間に、真のつながりを生み出しています。 

この高い意向を持つセグメントを確実に取り込むために、ブランドや自治体は以下の戦略に注力すべきです。

  1. 「共通の価値観」を最優先する
    日本の伝統が馴染み深く、敬意を払うに値すると感じられるように、文化的な共通点を強調する。
     
  2. 「定番の三種」のアプローチを再検討する
    地域的な嗜好は標準的な観光の定番から外れることが多いため、データに基づいた見直しが不可欠である。
     
  3. 体験の質をさらに深める
    写真映え(フォトオポチュニティ)だけではなく、儀式の本質に焦点を当てることで、それが意味のある体験として響くようにする。

専門家の皆さんの考えをお聞かせください。私たちは伝統文化に関するマーケティングをする際「新しいことへの挑戦」を強調しすぎ、「共通点の発見」を軽んじていないでしょうか?

皆さんの意見をコメント欄でぜひお聞かせください!

本記事は、2025年9月に関西国際空港にて実施した「訪日観光客調査:日本におけるAIへのニーズと期待」(有効回答数:訪日外国人273名、実施:株式会社アーティーズ)の結果に基づいています。